貧乏農家のきょうだいは、朝から晩まで働いた。農業は人手がかかる。当時は機械などなく、全て手作業だった。武芸川町は、井ノ口市に隣接しているものの山間部にあるため冬は寒かった。冬の朝には、霜が降りる為、野菜を守らなければならない。まだ夜が明けぬうち、小さな手は赤く腫れた。夏には日照りが続き、井戸でくみ上げた水を天秤棒で担ぎ畑まで何度も運ぶ。地形が平坦でなく、山肌に沿って段々になっているため、小さな子供がおよそ15キロの天秤棒を担ぎ登る事は重労働であった。タイは家業を支えるため学校に行けなかったし、字の読み書きもできなかった。近所の子供が学校に通うのを見ると悲しく辛かった。しかし親が大変な思いをして働く姿を見ると、お父さん、お母さんの為に働きたいと思い、何も言わずに働いた。生きていくことに必死だったのだ。タイは優しい大好きなお母さんの膝の上に座ることが好きだった。お母さんはいつも笑顔でいてくれた。戦争という暗く辛い時であっても母はいつも太陽だった。
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