僕、如月洋吉は岐阜県、井ノ口市に育った。井ノ口市は山の緑と清流・長良川の流れる、のどかな場所だといえる。井ノ口市のシンボルはなんと言っても金華山だ。井ノ口市民の心の中にはいつも金華山がある。金華山とは、井ノ口市で一番高い山であり、金華山の上には岐阜城がそびえている。金華山という名前の由来は、シブナジイ(どんぐり)の華が咲き誇り、金色に山が輝くことから、金の華咲く山という意味から金華山と名前が付いたようだ。
現在、高校2年生の17歳。あまり目立たない高校生だといえる。城東高校という私立高校、普通科に所属している。部活は何もしていない。勉強の成績は37人クラス中、15番前後をさまよっている。もともと進学校ではない為、普通にやっていれば、そこそこのテストの点数は取れてしまう。でも一つだけ僕に誇れるものがある。それは切手収集だ!月刊・切手愛好という専門誌ではあるが、切手収集家の中ではバイブルと呼ばれる雑誌に紹介されるほど、切手収集家の中で僕の存在は有名になっていた。高校1年生の時、切手収集部という部活を立ち上げようと担任に相談してみた。ところが、担任の反応は冷ややかなものだった。
担任いわく、
「そんなマイナーな部活、如月一人しかやらんやろ!」
「うん、絶対やらんね・・・」
と言われ、今日にいたる。切手収集の面白さ、熱さを共有できる喜びを、あっさり担任の手によって粉砕されてしまったのだ。しかし、結局は全校中を集めても、切手収集を趣味にしている生徒はおろか、切手収集すら知らない生徒ばかり・・・。担任の言うことにも一理あると納得せざろえなかった。
そして、腹立たしく長い間思っている事がある。それは僕に、ガリ吉という不名誉なあだ名が付いている事だ。身長は183センチあるが、やせ細り、骨と皮だけのような体系から、見た目のみの偏見でこの名が付いた。しかし、それは今に始まったことではなく、幼少の頃より十数年この呼び名は変わることを知らない・・・
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