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斎藤芳盛
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小百合の実家の前に二人は立っていた。大きな赤レンガの門と、頑丈なつくりの家が二人には見た目以上に大きく見えた。呼び鈴を鳴らすと小百合の母、里美がでてきた。里美は竜次と小百合を見つめ一瞬の間をもった。何かを感じた里美は、二人を家の中に入れた。少ない時間では数え切れないほどの部屋の数々と広さ。竜次はあたりを見回すようにして進み、居間に通された。居間へ進むと、中央に小百合の父清十郎が貫禄ある姿で座っていた。小百合の父清十郎、母里美と向かい合って二人は座った。しばらく無言の沈黙が空気を包む。息を切らしたように竜次が口を開いた。
「岐阜で小百合さんとお付き合いさせて頂いております、如月竜次と申します!」
竜次は小百合との経緯を清十郎の前で話した。清十郎は竜次の話を聞いて、一拍の時間をおいて話した。
「如月さんはどんな育ちかね?」
「小百合には経済的にひもじい思いはさせたくないんや」
「分かってくれるか?竜次君」

清十郎は里美に耳打ちをすると里美は場所を外した。しばらくたって里美が戻ってくると、風呂敷に包まれたものをテーブルの上に置いた。清十郎が風呂敷の結びをほどくと、中には札束が入っていた。清十郎は、竜次が風呂敷に目をやったのを確認すると、こう言った。

「竜次君、この金で商売したらよろしい・・・」

頭をテーブルに押し付け清十郎は言った。
「そのかわり、小百合と別れてくれ!」
それを見た小百合は怒りに任せて怒声を張った。
「おとおちゃんもおかあちゃんも、私の気持ちなんて分かってくれんのやね!!」
「分かった。もう親であって親じゃないわ!!!」
それを聞いて慌てたようにして清十郎が言った。
「さ、小百合!!」
「それでええのんか?もうこの家の敷居は跨がせへんで!!」
小百合は勢いのままに言った。
「こっちから願い下げやわ!!」
清十郎は小百合の言葉に言い返す言葉もなく、最後の言葉を言ってしまった。

「おまえなんて勘当や!二度と顔を見たくないわ!」

里美は清十郎の腕を掴んでなだめようとするが、清十郎は譲らなかった。
小百合は竜次の目を見て、手を強引に引っ張り家を出た。
家から少し離れてから小百合は竜次に言った。
「あんな親もう知らん!最低な親やわ・・・」
小百合の言葉を制して竜次は言った。
「誰も、小百合のことが憎くて言ったわけやないよ!」
「小百合の事を大切に思ってるから言ったんやで・・・」
「僕は、小さい時に親父を亡くしとる。小百合が羨ましいわ」
「子供を嫌う親なんていないんやで、いつかきっと分かってくれるて」

それから半年後、竜次と小百合は結婚することになる。小百合の父、母との関係は未だ変わっていなかったが駆け落ち同然で二人は夫婦となった。



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