僕には3つ歳の離れた妹がいる。名前は奈緒。兄が言うのもなんだが、いい妹だ。僕とは正反対だとも思う。気が強く兄である僕に対してもケンカを挑んでくる。口げんかを繰り返すものの、300戦以上無勝!つまり勝った事がない・・・。頭の回転が速く、何手も先をよんでいる。『妹に口げんかでは勝てない!』それを悟るのに17年の月日を費やしてしまったのだ。でも、内心では僕のことを心配してくれたり、気にかけてくれているようだ。妹に心配される兄の存在が良いものなのか?それは分からないが素直に嬉しく思っている。僕には、妹が完璧な人間のように見える。現在、中学2年生。成績は学年トップクラス、部活は陸上部に所属しており、走り高跳びの選手。人の面倒見もよくだれからも慕われる存在なのだ。中学1年生の中学総合体育大会の県予選では、1年生ながら県3位になり妹は今年の大会の活躍に注目されている。
小さい頃はよく一緒に遊んだ。二人で手を繋いで、兄らしく妹を守るように振舞っていたが、いつも妹に守られていたような気がする。妹の状況判断は年下ながら冷静で危ない場所に近づこうとすると、「お兄ちゃん!そこは地面が危ないから近づいちゃダメ!!」と言い、正しく僕を導いてくれた。なんとも情けない兄である。僕が小学校5年くらいの時でだっただろうか。妹は小学校2年生くらい。一緒に小学校で遊んでいると、中学生の不良3人組に絡まれたことがあった。その不良は何に腹を立てたのか分からないが、僕たちを生意気に思ったのだろう。
「おまえ何年や?」
と一人の不良が言った。僕は目を合わさないようにして、学年を言うともう一人の不良が、
「おまえちょっと調子にのっとるなぁ!!」
と言った。別に調子にはのっていなかったが、恐さのあまり、「は、はあ・・・。」と言うことしか出来ず、僕は反論できずにいた。すると妹が、何を言ってるか分からない程の高速スピードで中学生相手に激しく言葉をあびせた。『ww!!!○○××□▲www!!!』あまりの激しさに、体の大きな中学生3人が一歩退き体を引いた。すると、3人組の不良のリーダー格の一人がたどたどしく、「きょ、今日の、と、ところわぁwみのがしてやるはぁぁ」と言い、3人の不良たちは背中を丸め去っていった。僕は何より妹が恐かった・・・。すると妹がポツリと言った。「あぁ~恐かった・・・。」兄は妹の方が恐いぞ!っと思わず言いそうになったがやめておいた。妹と僕はいつも一緒だった。どんな時でも常に一緒にいたような気がする。僕にとって奈緒は自慢の妹なのだ。
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